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【DFINITY登壇レポート】Web Summit 2021: The Internet Computer - Dominic Williams


Web Summit 2021: The Internet Computer - Dominic Williams



2021年のWeb Summitにおいて、DFINITY Foundationの創設者でありチーフサイエンティストであるDominic Williams氏が、新たな分散型コンピューティングのビジョン「インターネットコンピュータ」について語りました。彼のプレゼンテーションは、現代のインターネットが抱える限界とそれを超えるための革新的なアプローチを明らかにしています。


インターネットの歴史的背景と新たな挑戦

Williams氏は、1990年代のインターネット黎明期を振り返り、当時の「情報ハイウェイ」の提案とオープンでパーミッションレスなインターネットの選択がどれほど画期的だったかを述べました。インターネットはIPという公開プロトコルによって、無数のプライベートネットワークを結びつけ、グローバルな公共仮想ネットワークを実現しました。しかし、今日のインターネットは単なる接続手段に留まり、革新的なサービスを展開するには限界があると指摘します。


「インターネットコンピュータ」の概念

Dominic Williams氏が提唱する「インターネットコンピュータ」は、インターネットの次の進化形として位置付けられます。これは、ICP(Internet Computer Protocol)という新たなプロトコルを基盤に、世界中の独立したデータセンターを結合し、単一のグローバルな公共コンピュータを構築することを目指しています。このパブリックコンピュータは、従来のクラウドサービスが提供する機能を超え、次世代のソフトウェアおよびインターネットサービスのホスティングを可能にします。


現在のクラウドコンピューティングの限界

Williams氏は、現代のインターネット環境における問題点も強調しました。現在、ソフトウェアやインターネットサービスを運用するためには、わずかな大手クラウドサービスプロバイダーが管理する巨大なデータセンターに依存しています。この集中化により、以下のような課題が生じています


  • 独占化とイノベーションの阻害少数の大手企業が支配するAPIに依存することにより、新規参入者が自由に革新的なサービスを構築することが困難。


  • データの所有権とプライバシー大手プラットフォームがユーザーデータを収集・活用することで、プライバシーやデータ所有権の問題が懸念される。


インターネットコンピュータがもたらす変革


「インターネットコンピュータ」は、これらの問題に対する解決策を提供します


  • 分散型クラウド環境の実現ICPにより、独立したデータセンター同士が相互接続され、一つの巨大な分散型コンピュータとして機能。これにより、特定のプロバイダーに依存しないオープンで透明性の高いサービス運営が可能に。


  • オープンサービスの創出中央集権的なAPIに頼ることなく、インターネットの根幹に組み込まれたサービスとして、新しいアプリケーションやビジネスモデルの開発が促進される。


Williams氏は、Web Summitのセッション後半で「インターネットコンピュータ」の詳細な技術スタックやユースケースについてさらに語る予定であることを示唆しました。彼のビジョンは、従来のクラウド中心のインターネットを超え、分散型でオープンな未来を築くことにあります。この新しいインフラは、イノベーションを加速させ、データプライバシーやセキュリティの向上をもたらす可能性を秘めています。

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